●上咽頭炎

 人体には4種類の「扁桃腺」があります。上から「咽頭扁桃」「耳管扁桃(左右)」「口蓋扁桃(左右)」「舌扁桃」です(図を参照)。このうち口を開けて直接見えるのは「口蓋扁桃」だけですので、一般のかたは「扁桃腺」イコール「口蓋扁桃」だと思っています。しかし見えないところにある扁桃腺、特に上咽頭にある「咽頭扁桃」や「耳管扁桃」の異常がいろいろな症状を引き起こしていることが多いのです。

 塩化亜鉛とは収れん作用(タンパク質を変性させ組織や血管を収縮させる作用)をもつ薬品で、抗生剤の普及する前にはよく使われていたそうです。それ「咽頭扁桃」「耳管扁桃」に塗るのが塩化亜鉛療法(Bスポット療法)です。茶色の薬品をのどに塗る治療を受けたことがあるかもしれませんが、それはルゴール液を口蓋扁桃に塗る治療で塩化亜鉛療法とは別物です。もし咽頭扁桃や耳管扁桃に炎症があれば、後鼻漏、のどの痛み、耳閉感、カゼ症状、IgA腎症などが改善する可能性があります。

 実際には、1%塩化亜鉛溶液を咽頭捲綿子という器具を使って口から塗布しています。他院では細いまっすぐな鼻綿棒で鼻から塗布する方法を行なっているところもあるようですが、それは動画で示すように塗布できる面積が少なく有効ではないと判断し当院では行なっておりません。(但し、先が弯曲した細い中空の綿棒で内視鏡で確認しながら塗布する方法は広い面積に塗布できています。)→ 動画はこちら

●急性喉頭蓋炎

 のどの奥、声帯の上に喉頭蓋という構造があります。食物を飲み込むときにそれが気管に入ってむせたりしないように弁のような動きをします。そこに炎症が起こって非常にのどが痛くなり、物を飲み込めなくなり、最悪の場合には呼吸困難をきたして窒息してしまうこともある非常におそろしい病気です。診断のポイントは、口を開けてのどを見てもあまり赤くなく普通に見えるのに、非常に強い痛みを訴え、声がこもっているということです。このような場合は至急耳鼻咽喉科を受診してください。当院でも開院からの1年7ヶ月の間に急性喉頭蓋炎の患者さんを3人診察し、緊急で入院のできる病院に紹介しました。(くわしくはこちら)

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